北海道駒ヶ岳活動状況(令和6年3月)
札幌管区気象台 地域火山監視・警報センター発表
全般概要
山頂火口原浅部の活動がやや活発化していますので、今後の火山活動の推移には注意が必要です。
噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)の予報事項に変更はありません。
噴気など表面現象の状況
山麓に設置した監視カメラで、8日に昭和4年火口の噴気が火口縁上50mまで上がるのを観測しました。
山頂に設置した監視カメラによると、2021年頃からごく弱い噴気を観測する日数が増加する傾向が認められています。
そのほかの火口の噴気活動は引き続き低調な状態です。
なお、23日の火山性微動の発生時に各火口で噴気は観測されず、以後も噴気活動の状況に特段の変化は認められませんでした。
27日に国土交通省北海道開発局の協力により実施した上空からの観測では、昭和4年火口をはじめとする山頂火口原内の各火口の状況に特段の変化は認められられませんでした。
赤外熱映像装置による観測でも、前回の観測(2023年10月)と比べて、地熱域の状況に特段の変化はありませんでした。
地震及び微動の発生状況
2023年12月以降継続的に発生していた山頂火口原浅部(主に深さ1km付近)を震源とする振幅の小さな火山性地震は、1月下旬以降減少し、低周波地震も含めて少なくなっています。
8日~9日に深さ0km付近で山頂の剣ヶ峯東観測点付近で観測される高周波地震が合計7回発生しましたが、2月20日~24日と同様に一時的なものに留まりました。
23日2時35分頃から、継続時間1分43秒の火山性微動が発生しました。
この火山性微動の発生前後で火山性地震の増加は認められませんでした。
火山性微動を観測したのは2001年1月17日以来です。
地殻変動の状況
23日の火山性微動の発生と概ね同期して、山頂火口原及びその周辺に設置した傾斜計で火口原方向が上がる傾斜変動を観測しました。
GNSS連続観測では、2022年頃から山頂火口原浅部の膨張を示すと考えられるわずかな変化が一部の基線で認められています。
平成28年12月21日より、気象庁ホームページに北海道駒ケ岳の火山観測データが掲載されておりますので、火山活動状況の把握等に活用願います。